「慶良間(きらま)あ見(み)いしが睫毛(まちげ)え見いらん」んでぃぬ黄金言葉(くがにくとぅば)ぬあん。
日本語(にふんぐ)ぬ「燈台下暗し」んでぃぬ意味とぅ大概(てえげえ)や同(い)ぬむんやん。昔(んかし)え、今(なま)ねし、電話(でぃんわ)そうな通信手段(つうしんてぃだ)ぬん無(ね)えらんたくとぅ、進貢船(ちんくんしん)ぬ入(い)っち来(ちゅ)ゅうるばあや、慶良間から火立(ふぃいた)てぃい(狼煙)ぬ上がやあに、首里(しゅい)、那覇(なあふぁ)ぬ人(ちゅ)んちゃあんかい知らちゃんでぃぬ事(くとぅ)やん。やくとぅ、首里・那覇ぬ人んちゃあや進貢船迎(んけ)えゆるしこういむこういぬなたるばすやたん。
沖縄戦(うちなあしん)んじ、米軍(びいぐん)が初(はじ)みに上陸(じゅうりく)さる所(とぅくま)ん、くまやたん。先(ま)じ、え水(みじ)、確保(かくふ)そおかんでえ、ならんでぃぬ考えんあてぃ、周(まあ)いぬ島あ先(さち)に取(とぅ)らりいるばあどぅやる。
2010年7月1日投稿分
【語句】
慶良間あ見いしが=慶良間は見えるが。
睫毛え見いらん=睫毛は見えない。
んでぃぬ黄金言葉ぬあん=ということわざがある。「んでぃ」は「~と」。「んでぃぬ」で「~との」。
日本語ぬ「燈台下暗し」んでぃぬ=日本語の「灯台下暗し」という。
意味とぅ大概や同ぬむんやん=意味とたいだいたい同じだ。「同ぬむん」は「ゆぬむん」とも発音される。
昔え、今ねし=昔は今のように。「今ぬ如(ぐとぅ)」でもよい。
電話そうな通信手段ぬん無えらんたくとぅ=電話のような通信手段もなかったから。「~も」を表わす助詞は通常は「ん」であるが、前語の語尾が「ん」である場合は「ぬん」となる。前語の語尾が「ぬ」に変音すると考えてもよい。この場合はの標記は通常通り「手段(てぃだぬ)ん」でよい。筆者は前語の語尾の発音を示したい考えから「ぬん」としたのである。
進貢船ぬ入っち来ゅうるばあや=進貢船が入港して来る場合は。
慶良間から火立てぃい(狼煙)ぬ上がやあに=慶良間から狼煙が上がり。「あがやあに」は「あがてぃ」でも良い。
首里、那覇ぬ人んちゃあんかい=首里、那覇の人たちに。
知らちゃんでぃぬ事やん=知らしたという事だ。
やくとぅ、首里・那覇ぬ人んちゃあや=だから、首里那覇の人々は。
進貢船迎えゆるしこういむこういぬ=進貢船を迎える支度が。「しこういむこうい」は「支度、準備」の意味。「しこうゆん」は「準備する、支度する、(ご馳走などを)作る」の意味がある。
なたるばすやたん=できたわけである。「なゆん」は「成る、出来る」の意味。
沖縄戦んじ=沖縄戦で。
米軍が初みに上陸さる所んくまやたん=米軍が初めに上陸したところもここである。「所(とぅくま)」は「とぅくる」でも良い。
先じえ=先ずは。
水、確保そおか んでえ=水を確保しておかねねば。
ならん でぃぬ=ならない との。
考え んでえ ん あてぃ=考え など も あって。
島あ 先に=島は 先に。
取らりいる ばあ どぅ やる=取られる わけ である。「どぅ」は前語を強調する助詞で、次にくる「やん」は通常は「やる」という連体形で結ぶ。
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