溝原ぬ石道(糸満市)

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 石畳(いしだたん)んでぃ言いねえ、首里金城(しゅいかなぐしく)町ぬ石畳や観光地(くぁんくうち)成いるあたい、音(うとぅ)に立っちょおしが、戦前迄(いくさめえまで)え沖縄(うちなあ)ぬまあにんあたん。戦なかい壊(くう)さってぃ、うぬまあまあ、草木(くさきい)なかいけえ覆(うす)らってぃ、やまけえとおる所(とぅくま)んあれえ、新石(みいいし)んかい変(け)えらっとおる所ん、またアスファルトんかい造(つく)いんかい変えらっとおる所んあん。くま溝原(んずばる)ぬ道んかいや昔(んかし)ぬままぬ石畳ゆ残(ぬく)とおる所お残ち、壊りとおる所おアスファルト貼(は)てえん。やしが、今(なま)あ新道(みいみち)ぬ造らり強(づう)さぬ、くまぬ道え、くまぬ部落(しま)ぬ人(ちゅ)んちゃあくうとお、誰(たあ)ん通(とぅう)らん裏道んかいどぅけえ成とおる。

2010年8月1日投稿分

【語句】
石畳んでぃ言いねえ=石畳といえば。琉球王朝時代には宿道(幹線道路)をはじめ主な道は石畳で舗装されていた。
首里金城町ぬ石畳や=首里金城町の石畳は。
観光地成いるあたい=観光名所になるほどに。
音に立っちょおしが=有名であるが。
戦前迄え沖縄ぬまあにんあたん=沖縄のどこにでもあった。
戦なかい壊さってぃ=戦争で破壊され。
うぬまあまあ、草木なかいけえ覆らってぃ=そのまま草木に覆われしまい。「けえ」は「~しまう」の意味の副詞で、動詞の前につく。
やまけえとおる所んあれえ=原野になってしまった所もあれば。「やま」は「野生」の意味合いが強く、「やま」の意味は薄い。「やま猫」は「野生の猫」の意味。「やま学校」は「学校をサボって山野で時間を過ごすこと」。
新石んかい変えらっとおる所ん=新石に変えられた所も。
またアスファルトんかい=またアスファルトに。
造いんかい変えらっとおる所んあん=造り変えられた所もある。
くまぬ道んかいや=この道には。
昔ぬままぬ石畳ゆ=昔のままの石畳を。
残とおる所お残ち=残った所は残し。
壊りとおる所おアスファルト貼てえん=壊れている箇所はアスファルトを貼ってある。
やしが、今あ=だが、今は。
新道ぬ造らり強さぬ=新道が建設され過ぎて。
くまぬ道え=ここの道は。
くま溝原ぬ部落ぬ人んちゃあくうとお=ここ溝原の部落の人々以外は。
誰ん通らん=誰も通らない。
裏道んかいどぅけえ成とおる=裏道になってしまっているのだ。「どぅ」は前語を強調する助詞で、次にくる「成とおん」はその連体形「成とおる」で結ぶ。

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