三重城(那覇市)

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 三重城(みぐしく)に登(ぬぶ)てぃ、手巾(てぃさじ)見上(みあ)ぎりば、早船(はや)ぬなれや、一目(ちゅみ)どぅ見(み)ゆる(花風節)。
 三重城に登てぃ、うち招(まに)く扇(をぅおじ)、又ん廻(みぐ)り来(ち)てぃ、結(むし)ぶ御縁(ぐいん)(本花風節)。
 あんし歌わりたる三重城(みいぐしく)((ロワジールホテルぬ西(いり)むてぃいんかいあん)や、昔(んかし)え船送(ふなをぅ)いすぬ所(とぅくる)やたん。「花風節(はなふうぶし)」え、夫(をぅとぅ)んあらん愛(かな)し思里(うみさとぅ)ゆ送(をぅく)ゆる歌やんでぃぬ事(くとぅ)。
 どぅく船(ふに)ぬ早(ふぇえ)さぬ、「一目どぅ見ゆる」んでぃぬ歌詞(くとぅば)え、うぬ節(ふし)とぅ共(とぅむ)に肝(ちむ)ちゃあがなさん。
 「花風節」ぬ踊(をぅどぅ)いや、ちゅらんかあぎくうとお、踊(をぅどぅ)てえならんでぃぬ伝(ちてえ)え話迄(までぃ)あん。

 2011年4月15日投稿分

【語句】
三重城に登てぃ=三重城に登り。琉歌では韻を優先し「みぐしく」となるが、口語では「みいぐしく」。
手巾見上ぎりば=ハンカチを見上げれば。琉歌では韻を優先し「てぃさじ」となるが、口語では「てぃいさあじ」である。
早船ぬなれや=船足が速く。「なれ」は「なり」ともいい、(速く走る)「習慣」の意味。
一目どぅ見ゆる=一目しか見ることができない。「どぅ」は前語を強調する助詞で、次にくる「見ゆん」は連体形で結ばれて、「見ゆる」となる。
花風節=琉球古典民謡。歌詞は琉歌形式(八、八、八、六の韻で歌う)。
三重城に登てぃ=上参考。
うち招く扇=招くように振る扇。「招く」は文語。「まぬく」ともいう。
又ん廻り来てぃ=再び、めぐり来て。「来てぃ」は文語。口語では「~来(ち)」。
結ぶ御縁=結ぶ御縁。
本花風節=琉球古典民謡。琉歌形式で歌われている。元々は「花風節」であるが、上の「花風」が新作されたために、古い「花風」は「本花風」と「歌名」が変えられた?。
あんし歌わりたる三重城や=そのように歌われた三重城は。
ロワジールホテルぬ西むてぃいんかいあん=ロワジールホテルの西側にある。
昔え船送いすぬ所やたん=昔は出船を見送る場所だった。
「花風節」え=「花風節」は。
夫んあらん愛し思里ゆ=夫でもない彼氏を。「思里」は恋人。「里(さとぅ)」も同じ意味。
送ゆる歌やんでぃぬ事=見送る歌だという事だ。
どぅく船ぬ早さぬ=あまりにも船足が速いので。
「一目どぅ見ゆる」=一目しかみえない。
んでぃぬ歌詞え=という歌詞は。
うぬ節とぅ共に=その曲とともに。「節」は「曲、メロディー」。
肝ちゃあがなさん=寂しくうら悲しい。
「花風節」ぬ踊いや=「花風節」の踊りは。
ちゅらんかあぎくうとお=美人以外は。「ちゅらんかあぎ」は「ちゅらかあぎ(美人)」の敬称。
踊てえならんでぃぬ=踊ってはいけないとの。
伝え話迄あん=言い伝えがある。

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