畑道ぬ一本ガジュマル(糸満市)

畑の一本ガジュマル小.jpg
 畑道(はるみち)んかいや蔭(かあぎ)作(つく)ゆる木(きい)ぬあしえまし。
 畑仕事(はるちくち)憩(ゆく)やい、十時茶(じゅうじじゃあ)、朝飯(あさばん)また三時茶(さんじじゃあ)んでえするばすねえ、木影(きいかあぎ)ぬあれえ、涼(しだ)さんあい、落(う)てぃ着(ち)ち憩(ゆく)い易(や)っさん。
 憩てぃ後(あとぅ)ん、仕事んしい易(や)っさん。
 やぐとぅ、畑道んかいや、木影ぬ無(ね)えらんでえならん=なので、農道。
 今(なま)あ畑(はる)んかい行(い)ちゅしん車乗(くるまぬ)てぃどぅ行ちゅくとぅ、車ぬ中(なあか、なか)んじ憩ゆるばあんあしが、いいくる車乗てぃ家(やあ)んかい帰(けえ)てぃ憩ゆる事(くとぅ)ぬ多(うふ)さん。
 また時間(じかん)あたらさそおる人(ちゅ)お、畑まんぐらんかいカバ屋小(やあぐゎあ)作(つく)やあに、うぬ中んじ憩ゆる人ん居(をぅ)ん。
 あんし、畑道木(はるみちぎい)ん、いいくる減(ふぃ)なとおしが、何(ぬう)やらわん、畑道木や人ぬ目(みい)ん肝(ちむ)んうらあきてぃ取(とぅ)らするむぬやん。

【語句】
畑道んかいや蔭作ゆる木ぬあしえまし=農道には陰を作る木があるのがよい。
畑仕事憩やい、十時茶、朝飯また三時茶んでえするばすねえ=農作業を休め、十時のお茶時間、昼飯そして三時のお茶時間をするときは、
木影ぬあれえ、涼さんあい、落てぃ着ち憩い易っさん=木陰があれば、涼しくもあり、落ち着いて休みやすい。
憩てぃ後ん、仕事んしい易っさん=休憩後も仕事に精を出せる。
やぐとぅ、畑道んかいや、木影ぬ無えらんでえならん=なので、農道には木陰は必須である。
今あ畑んかい行ちゅしん車乗てぃどぅ行ちゅくとぅ=現代は農作業に行くのも車に乗って行くので、
車ぬ中んじ憩ゆるばあんあしが、いいくる車乗てぃ=車の中で休憩することもあるが、大抵は車に乗って、
家んかい帰てぃ憩ゆる事ぬ多さん=帰宅して休憩することが多い。
また時間あたらさそおる人お、畑まんぐらんかい=また時間を惜しむ人は、畑付近に
カバ屋小作やあに、うぬ中んじ憩ゆる人ん居ん=テント小屋を作って、その中で休憩する人もいる。
あんし、畑道木ん、いいくる減なとおしが、何やらわん=そんな経緯で農道の木々は大抵、減ってきているが、とにかく、
畑道木や人ぬ目ん肝んうらあきてぃ取らするむぬやん=農道の木は人の目も心も癒してくれるものである。

註:「あさばん(朝飯)」は「昼飯のこと」。「あさめし」は「してぃみてぃい、してぃみてぃむん、ひてぃみてぃい等」(地方によって発音がゆらぐ)。

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