阿旦毛(名護市)

辺野古海岸小.jpg
 くぬ阿胆(あだん、あだに)ぬ彼方(あがた)あ海端(うみばた)なとおん。
 また、うぬ海端ぬ右(にじり)むてぃいんかいや、今(なま)、むさげえとおる辺野古(ふぃぬく)新基地(みいちち)ぬ普請(ぶしん)さっとおる所(とぅくる)なとおん。
 うちなあぬ海端あ、いいくる阿旦ぬ生(み)いまんどおん。
 琉球国(るうちゅうくく)世(ゆう)んじ、潮風(うすかじ)防(ふし)じゅる為(たみ)なかい、うちなあまじりぬ海端んかい阿旦植(うゐ)いたくとぅやん。
 確(たし)かに、阿旦や潮風んかい強(ちゅう)さい、何百年(なんびゃくにん)が後(あとぅ)ぬ今(なま)ちきてぃ、ちゃあ生(み)いそおん。
 うりが下(しちゃ)あ太陽(てぃだ、てぃいだ)がたかんなとおくとぅ、海端んじん遊(あし)び易(や)っさん。
 阿旦蔭(かあぎ)ぬ中(みい)や、いかな真(まあ)ふっくゎやてぃん、でえじな涼(しだ)さん。
 あらん、却(けえ)てえ寒(ふぃい)さるある。
 根(にい)や繊維(しじ)ぬ強(ちゅう)さくとぅ、頑丈綱(かんじゅうあみ)ん綯(のう)らりゆい、またうぬ葉(ふぁあ、はあ)や、編(く)でぃ虫駕籠(むしかぐ)そうな得(い)いり物(むぬ)ん作(つく)らりいん。
 うんな景色(ちいち、ちしち)や何時迄(いちまでぃ)んありたぼり。

筆:比嘉清。
くぬ阿胆ぬ彼方あ海端なとおん=このアダンの向こうは海岸(すなはま)である。
また、うぬ海端ぬ右むてぃいんかいや、今=また、この海岸の右方面には、現在、
むさげえとおる辺野古新基地ぬ普請=騒がれている辺野古の新基地工事が
さっとおる所なとおん=行われている場所である。
うちなあぬ海端あ、いいくる阿旦ぬ生いまんどおん=沖縄の海岸は大抵アダンが生い茂っている。
琉球国世んじ、潮風防じゅる為なかい、うちなあまじりぬ=琉球国時代に防潮林として、国中の
海端んかい阿旦植いたくとぅやん=海岸にアダンを植樹したからである。
確かに、阿旦や潮風んかい強さい、何百年が後ぬ=確かにアダンは潮風に強いし何百年後の
今ちきてぃ、ちゃあ生いそおん=今日まで、ずっと生え続けている。
うりが下あ太陽がたかんなとおくとぅ=その下は太陽光線を遮るので、
海端んじん遊び易っさん=海岸でも遊び易い。
阿旦蔭ぬ中やいかな真ふっくゎやてぃん、でえじな涼さん=アダン蔭は灼熱下の真昼でも涼しい。
あらん、却てえ寒さるある=否、むしろ、寒いくらいである。
根や繊維ぬ強さくとぅ、頑丈綱ん綯らりゆい=根は繊維が強いので頑丈な綱が綯える。
また、うぬ葉や、編でぃ虫駕籠そうな=また、その葉は編んで、虫篭のような
得いり物ん作らりいん=おもちゃも作れる。
うんな景色や何時迄んありたぼり=こういう風景がいつまでもあらんことを。

筆:比嘉清。

この記事へのコメント