伊集ぬ木ぬ花(那覇市)

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 「伊集(んじゅ、いじゅ)ぬ木(きい)ぬ花(はな)や あんちゅらさ咲(さ)ちゅい 我身(わみ)ん伊集やとてぃ 真白(ましら)咲かな」んでぃち邊野喜節(びぬちぶし)なかい歌(うた)あらっとおん。
 写真(しゃしん)ぬ伊集ぬ花(はな)あ、丁度(ちょうどぅ)、咲ち被(かん)とおんねえ見(み)ゆしが、実(じち)え、6月(るくぐゎち)まんぐらから咲ち始(はじ)みやあに、夏(なち)ぬ間(うゑえだ)、通(とぅう)ち、咲ちょおん。
 あんし、幾回(いくけ)ぬん咲ち被てえ居(をぅ)らんがあらんでぃ思(うむ)ゆん。
 白花(しるばな)あ夏ぬ太陽(てぃだ、てぃいだ)なかい照(てぃ)らさってぃくゎらくゎらすん。
 真夏(まなち)ぬまあふっくゎぬイルミネーション風儀(ふうじい)がやら。
 戦前(いくさめえ)やれえ、道端(みちばた)ぬゆむ草(くさ)あ諸刈(むるか)らってぃ、石垣囲(いしがちがく)いぬ赤瓦(あかがあら)ぬうぬ伊集ぬ木ぬ後(くさあ)、くしん)かいあれえ、白花あ、なあふぃん美(ちゅ)らく見(み)いゆたる筈(はじ)。
 別(びち)ぬ民謡(ふぁあうた)んかいあぬ「夏花(なちぱな)」あ「木綿花(むみんぱな)」ぬ事(くとぅ)どぅやしが、木綿花あ、まあにんあるむぬおあらん。
 やしが、くぬ伊集ぬ木やまあにんあん。

筆:比嘉清。

「伊集ぬ木ぬ花や あんちゅらさ咲ちゅい=「伊集の木の花は、こんなにも美しく咲くし、
我身ん伊集やとてぃ 真白咲かな」んでぃち=私(の名も同じ)伊集だし真っ白く咲こうかな」と、
邊野喜節なかい歌あらっとおん=邊野喜節(古典)に歌われている。
写真ぬ伊集ぬ花あ、丁度、咲ち被とおんねえ=写真の伊集の花は、丁度、満開のように
見ゆしが、実え、6月まんぐらから咲ち始みやあに=見えるが、実は6月頃から咲き始めて、
夏ぬ間、通ち、咲ちょおん=夏の間、ずっと、咲いている。
あんし幾回ぬん咲ち被てえ居らんがあらんでぃ思ゆん=そして何回も「満開」になるのかと思う。
白花あ夏ぬ太陽なかい照らさってぃくゎらくゎらすん=白い花は夏日に照らされてキラキラする。
真夏ぬまあふっくゎぬイルミネーション風儀がやら=真夏の真昼のイルミネーションという事か。
戦前やれえ、道端ぬゆむ草あ諸刈らってぃ=戦前なら道端の雑草はすべて刈り取られ、
石垣囲いぬ赤瓦ぬうぬ伊集ぬ木ぬ後かいあれえ=石垣囲いの赤瓦がその伊集の木の背景にあれば、
白花あ、なあふぃん美らく見いゆたる筈=白い花はもっと、美しく映えていたであろうか。
別ぬ民謡んかいあぬ「夏花」あ「木綿花」ぬ事=別の民謡にある「夏花」とは「木綿花」の事
どぅやしが、木綿花あ、まあにんあるむぬおあらん=なのであるが、木綿花はめったにない。
やしが、くぬ伊集ぬ木やまあにんあん=だけど、この伊集の木ならどこにでもある。

筆:比嘉清。


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