去(ん)じゃる旧暦(ちゅうりち、うちなあぐゆみ)ぬ十三日(じゅうんにち)ぬ月(ちち)やん。
5時半(ぐじはん)から6時前(るくじめえ)まんぐらがやたら。
太陽(てぃだ)あ未(なあ)だ落(う)てぃてえ居(をぅ)らたん。
ぬさかてぃから何時(なんどぅち)がなたらあ、いっぺえ、上上(うゐいあ)がとおん。
八重山(いぇえま)ぬ歌(うた)んかい「月(ちち)ぬ美(かい)しゃ十日(とぅか)三日(みいか)」でぃちあい、大和(やまとぅ)ぬ歌んかいん「十三夜」でぃしぬあん。
十三日ぬ月え美(ちゅ)らさんでぃ言(ゆ)しやか、何時(いち)見(ん)ちん、実(じゅん)にふぃるましいむんやん。
昔(んかし)、勝連(かっちん)バーマんでぃぬ人(ちゅ)が御城(うぐしく)ぬ魚小堀(いゆぐむい)ぬ普請(ぶし)ぬんかい勝連賦(かっちんぶう)、引(ふぃ)ち連(ち)りてぃぬ来(ち)ゃるむぬやしが、遅(うく)りやい役人なかい呪(ぬら)あったん。
バーマや「遅りたるうっさあ月ぬ出(ん)じゆる迄(までぃ)、働(はたら)ちゃびいくとぅ、許(ゆる)ちうたびみせえびり」んでぃ詫(わ)びたん。
やしが、うぬ日(ふぃい)や十日月(とぅかじち)やたくとぅ、昼(ふぃる)ぬうちなかい、月ぬぬさかたる為(たみ)なかい、早々(ふぇえべえ)とぅ、普請、上(あ)がゆる事(くとぅ)ぬなたんでぃぬ事(くとぅ)(『よなぐしくの民話』から)。
筆:比嘉清。
去じゃる旧暦ぬ十三日ぬ月やん=先日の旧暦十三日の月である。
5時半から6時前まんぐらがやたら=5時半から6時前の間だったろうか。
太陽あ未だ落てぃてえ居らたん=太陽はまだ、落ちていなかった。
ぬさかてぃから何時がなたらあ=出てから、どれぐらいの時間が経っのだろうか。
いっぺえ、上上がとおん=随分と、上まで上がっている。
八重山ぬ歌んかい「月ぬ美しゃ十日三日」でぃちあい=八重山の歌に「月が美しいのは十三日」とあり、
大和ぬ歌んかいん「十三夜」でぃしぬあん=本土の歌謡にも「十三夜」というものがある。
十三日ぬ月え美らさんでぃ言しやか=十三日の月は美しいというより、
何時見ちん、実にふぃるましいむんやん=いつみても、本当に珍しいと思う。
昔、勝連バーマんでぃぬ人が御城ぬ魚小堀ぬ=昔、勝連バーマという人が首里城の龍潭池の
普請ぬんかい勝連賦、引ち連りてぃぬ来ゃるむぬやしが=工事に勝連賦役を連れてきたのでだが、
遅りやい役人なかい呪あったん=(時間に)遅れてきたので役人に怒られた。
バーマや「遅りたるうっさあ月ぬ出じゆる迄=バーマは「遅れた分、月ガ出るまで、
働ちゃびいくとぅ許ちうたびみせえびり」んでぃ詫びたん=働きますのでお許し下さい」と詫びた。
やしが、うぬ日や十日月やたくとぅ、昼ぬうちなかい=だがその日は十日月だったので昼の内に、
月ぬぬさかたる為なかい、早々とぅ普請=月が出たために、早々と工事を
上がゆる事ぬなたんでぃぬ事(『よなぐしくの民話』から)=終える事が出来たとの事(『よなぐしくの民話』より)
筆:比嘉清。
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