イービヌ御嶽(南城市)

あイービ御嶽(小).jpg

 さんぐゎちゃあぬ浜下(はまう)りいんかい行(い)ちゆさん女(いなぐ)ん達(ちゃあ)が言(い)い訳(わき)し、体頑丈(からたがんじゅう)願(にが)ゆる御嶽(うたき)やんでぃち前(めえ)んかいある立(た)てぃ札(ふだ)んかいや書(か)かっとおん。
 うん如(ぐと)おる御嶽ぬあんでえ知(し)らんたん。
 今(なま)ぬ世(ゆう)や、いいくる車(くるま)ぬあくとぅ、まあんかい行(い)ちゅしん、便利(びんり)やしが、車ん無(ね)えん昔(んかし)え海(うみ)から遠(とぅう)さる山(やま)ぬ中(みい)んかいあるシマぬ女ん達やれえ、胴易(どぅうやし)く浜下りいすしん、大儀(でえじ)がやたらあん分(わ)からん。
 くぬ御嶽ねえし、うんな女ん達が言い訳する所(とぅくる)ぬあれえ、うりん又(また)、「便利なむん」。
 同(い)ぬ立てぃ札んかい『琉球国由来記』んかいあぬ「神山ノ御嶽」えあらにんでぃち書かっとおん。
 なあ、拝(をぅが)まあぬ少(いき)らくけえなてぃがら、まんぐらあ、さぼうりがなさぼうりとおん。

筆:比嘉清。



さんぐゎちゃあぬ浜下りいんかい行ちゆさん女ん達が=旧暦3月3日に浜下できない女性達が
言い訳し、体頑丈願ゆる御嶽やんでぃち前んかいある=お詫びをし、健康を願う御嶽だと前方の
立てぃ札んかいや書かっとおん=立て札に記されている。
うん如おる御嶽ぬあんでえ知らんたん=そのような類の御嶽があるとは知らなかった。
今ぬ世や、いいくる車ぬあくとぅ、まあんかい行ちゅしん=現代は車があるので何処へ行くのも、
便利やしが、車ん無えん昔え海から遠さる=便利であるが、車のない時代に海から遠く離れた
山ぬ中んかいあるシマぬ女ん達やれえ、胴易く=山間の集落の女性にとって、簡単に
浜下りすしん、しい難なさらがあたらあん分からん=浜下りするのも大変だったかも知れない。
くぬ御嶽ねえし、うんな女ん達が言い訳する所ぬ=この御嶽のように女性らがお詫びをする場所が
あれえ、うりん又、「便利なむん」=あれば、それもまた「便利なもの」。
同ぬ立てぃ札んかい『琉球国由来記』んかいあぬ=同じ立て札に『琉球国由来記』にある
「神山ノ御嶽」えあらにんでぃち書かっとおん=「神山ノ御嶽」ではないかと記されている。
なあ、拝まあぬ少らくけえなてぃがら、=もう、参拝者が少なくなっているからなのか、
まんぐらあ、さぼうりがなさぼうりとおん=周辺は荒れ放題になっている。

筆:比嘉清。

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