綿木(わたぎい)や、いっそうまや只(ただ)ぬ木(きい)どぅやしが、花咲(はなさ)かちゃい、木枝(きいゆだ)いっぺえ白綿(しるわた)「咲かちゃい」しいねえ、うぬ姿(しがた)あ、全(まった)ち相変(あいか)わゆん。
今度(こんどぅ)ん綿木ぬ花ぬ咲ち被(かん)とおん。
綿木やまあらにんあしが、桜色(さくらいる)やくとぅ、目立(みいだ)ち、実(じゅん)に美(ちゅ)らむんやん。
秋(あち)ぬ中頃(なかぐる)から冬(ふゆ)ぬ初(はじ)み頃迄(ぐるまでぃ)、長(なげ)えさ咲ち、見(ん)じゅる人(ちゅ)ん達(ちゃあ)ぬ肝(ちむ)うらあきゆん。
うぬ綿木ん、なあ一月(ちゅちち)が間(うゑえだ)、ちゃあ咲ちいそおん。
来年(やあん)ぬ若夏(わかなち)まんぐるんじえ、また種包(さにちち)どおる白綿(しるわた)ぬ花(はな)ぬ如(ぐとぅ)し、木いっぺえ実(な)いがすら分からん。
今度ぬばあや白綿ぬ実い様(な)や去年(くず)ぬ如(ぐと)おあらな、なんぞおあらんたん。
今(なま)あただ、願立(ぐゎんた)てぃゆる他(ふか)あ無(ね)えらん。
どうでぃん、来年ぬ若夏ぬばすお、白綿実(な)らちたぼり。
あんし又(また)、人ん達ぬ肝うらあきてぃたぼり。
筆:比嘉清。
綿木や、いっそうまや只ぬ木どぅやしが、花咲かちゃい=綿木は普段は只のきなのであるが、
木枝いっぺえ白綿「咲かちゃい」しいねえうぬ姿あ=枝中白い綿を咲かしたりすれば、その姿は
全(まった)ち、相変(あいか)わゆん=一変するのである。
今度ん綿木ぬ花ぬ咲ち被とおん=今年も綿木の花が咲き誇っている。
綿木やまあらにんあしが、桜色やくとぅ、目立ち=綿木自体はどこにもあるが、桜色なので目立ち
実に美らむんやん=ほんとうに美しいものである。
秋ぬ中頃から冬ぬ初み頃迄、長えさ咲ち=秋の中頃から冬の初め頃まで咲いて、
見じゅる人ん達ぬ肝うらあきゆん=見る人々の心を和ませる。
うぬ綿木んなあ一月が間、ちゃあ咲ちいそおん=この綿木も、もう一か月ぐらい咲き続けている。
来年ぬ若夏まんぐるんじえ、また種包どおる白綿ぬ=来年の若夏の頃には、又種を包んだ白綿が
花ぬ如し、木いっぺえ実いがすら分からん=花の様に、木枝いっぱいに実らすのか知らない。
今度ぬばあや白綿ぬ実い様や去年ぬ如おあらな=今年の場合は白綿の実り様は昨年程ではなく、
なんぞおあらんたん=満足のいくようなものではなかった。
今あただ、願立てぃゆる他あ無えらん=今はただ、祈る他はない。
どうでぃん来年ぬ若夏ぬばすお白綿実らちたぼり=どうか来年の若夏に白綿を実らしてください。
あんし又、人ん達ぬ肝うらあきてぃたぼり=そして、人々の心を癒してください。
筆:比嘉清。
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