嘉手志川(糸満市)

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 嘉手志川(井戸)(かでぃしがあ)から湧(わ)ち出(ん)じゆる水(みじ)んまた多(うふ)さん。
 かあま昔(んかし)、ひゃあいぬ長(なげ)えさ続(ちぢ)ちょおたるばす、濡(ん)でぃ過(かあ)なてぃ良(い)い按配(やんべえ)そおたる犬(いん)ぬ居(をぅ)たん。
 村(むら)ぬ人(ちゅ)ん達(ちゃあ)やふぃるまささあに、うぬ犬ぬ後(あとぅ)、追(をぅ)うてぃ見(ん)じゃれえ、地(じい)ぬ窪(くぶ)どおたる所(とぅくる)んかい泉(いずん)ぬある事(くとぅ)ぬ分(わ)かたんでぃぬ事。
 うぬ泉が今(なま)ぬ嘉手志川やん。
 やしが、似(に)ちょおる伝(ちて)え話(ばなしい)や伊計島(いちはなり)んかいんあん。
 犬いちむしぬ鼻(はな)ぬ性(しょう)や人(ちゅ)やか果(は)てぃるか勝(すぐ)りてぃどぅ居くとぅ、どぅう易(やし)く水(みじ)ぬ在処(あいず)ぬ分かゆるむぬやる筈(はじ)。
 人とぅいちむしや互(たげ)えに補(うじ)に合(ええ)し、助(たし)き助(だし)きしわる暮(く)らち行(い)かりいるむぬやら筈。
 あんし、近(ちか)くんかいあたる南山城(なんざんぐしく)やうぬ井戸(かあ)ぬ御蔭(うかじ)んあてぃ、栄(さけ)えとおたんでぃぬ事(くとぅ)やん。
 写真(しゃしん)抜(ぬ)じゃる日(ふぃい)や山原(やんばる)やか早(ふぇえ)く桜(さくら)ん咲(さ)ちょおたん。

筆:比嘉清。


  
嘉手志川(井戸)から湧ち出じゆる水んまた多さん=嘉手志川から湧き出る水もまた多い。
かあま昔、ひゃあいぬ長えさ続ちょおたるばす=はるか昔、旱魃が長く続いてとき
濡でぃ過なてぃ良い按配そおたる犬ぬ居たん=ずぶ濡れになって、気持ちよさそうな犬がいた。
村ぬ人ん達やふぃるまささあに、うぬ犬ぬ後=村の人達が不思議に思って、その犬の後を
追うてぃ見じゃれえ、地ぬ窪どおたる所んかい泉が=追っていってみると、窪地に泉が
ある事ぬ分かたんでぃぬ事=あることが分かったとのこと。
うぬ泉が今ぬ嘉手志川やん=その泉こそこの嘉手志川である。
やしが、似ちょおる伝え話や伊計島んかいんあん=だが、同様な伝説は伊計島にもある。
犬でえぬいちむしぬ鼻ぬ性や人やか果るか=犬等の動物の嗅覚は人間より遥かに
勝りてぃどぅ居くとぅ、どぅう易く=優れているので、容易く
水ぬ在処ぬ分かゆるむぬやる筈=水のある場所がわかるのであろう。
人とぅいちむしや互えに補に合し、助き助き=人と動物は互いに補い合い、助け合い
しわる暮らち行かりいるむぬやら筈=してこそ、生活も立ちゆくのであろう。
あんし、近くんかいあたる南山城やうぬ井戸ぬ=そして、近くにあった南山城はこの井戸の
御蔭んあてぃ、栄えとおたんでぃぬ事やん=お蔭もあって、栄えたとの事である。
写真抜じゃる日や山原やか早く桜ん咲ちょおたん(写真の左)=写真を撮影した日は山原より早く咲いた?桜も咲いていた。

筆:比嘉清。


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